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映画ノート 「長いお別れ」

中野量太監督「長いお別れ」

きのう朝の情報番組を見ていて思わずえ~‼と声をあげてしまった蒼井優ちゃんと山ちゃんの結婚。だからというわけではないですが、その蒼井優ちゃんの主演作を見に行きました。

6月最初の映画鑑賞。あ、そういえば6月からTOHOシネマズの料金が値上がりしましたね。今日はラッキーにも6ポイントの無料鑑賞券を利用しました。

映画館は平日の昼間のせいか中高年の割合がめっちゃ高かったですがほぼ満員、90%くらい入っていたのではないでしょうか。

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あらすじ

父の70歳の誕生日。久しぶりに帰省した娘たちに母から告げられたのは、厳格な父が認知症になったという事実だった。 それぞれの人生の岐路に立たされている姉妹は、思いもよらない出来事の連続に驚きながらも、変わらない父の愛情に気付き前に進んでいく。 ゆっくり記憶を失っていく父との7年間の末に、家族が選んだ新しい未来とは――。(「長いお別れ」公式ホームページ Story)

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感想

原作未読です。

「長いお別れ」。タイトル自体が状況を端的に表しています。テーマがテーマですから、中高年には見たいような見たくないような…

会場にいた多くの人が自分の体験と重ね合わせたことと思います。

認知症が進むにつれ現れる症状のあるある。

周りの家族のそれぞれの事情と介護生活のあるある。

実際は精神的にも体力的にも追い込まれる介護生活をあえてそこまで生々しく描かない。阻喪する場面もさらりと描く。

すこしずつ進む認知症によって引き起こされるハプニングと少しずつ変化する家族それぞれの人生の起伏が交差して話が静かに展開していきます。

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フォーカスしているのは「苦しみ」ではなく誰もが通るであろう「日常」。実際はこんなにやさしく穏やかな展開ばかりではないだろうと思います。現実に介護に直面している者はホントに余裕がない。でももしこの映画のように、実際には笑えない状況も笑って受け止めることが出来れば幸福です。メリーゴーランドのシーンはひとつの山場ですが、屈託ないお父さんの姿を皆がおおらかに見守る姿は、家族の歴史への慈しみに満ちていて切ないながらもじんわりと温かい。

ファンタジーかもしれないけれど、映画には必須の現実と非現実のあいだに存在する物語の世界観がきちんと成立していました。

キャストが素晴らしかったです。山崎勉さん、すごいです。ホンモノみたいでした。蒼井優ちゃんの力まない存在感も光ってました。二人の縁側で話すシーンはみどころです。噛み合っているのかいないのか、微妙なやり取りの中でお互いの心の琴線がちゃんと通じ合っているのが伝わって来てウルウルします。竹内結子さんの、苦しい状況にありながらも真っ正直な行動がどこかユーモラスでクスリとさせられます。飄々とした松原千恵子さんがしっかり物語の要を押さえ、全編にほんわりとした明るさを与えていました。

☆3.5